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📄発達理論と能力の成長

  • 成長には「器の成長」と「能力の成長」の2種類ある
    • 器 = 人間性
    • 能力 = スキル
  • 能力の成長に焦点を当てたものにフィッシャーの「ダイナミックスキル理論」がある

能力の成長は、自分の内側に溜め込まれるような静的なものではなく、環境や他者との関わりを通じて変化するような動的なものであるという考え方をもとにした理論。

  • 環境依存性
    • 能力は環境に左右される
    • あるチームでリーダーシップを発揮できた人が他のチームでも発揮できるとは限らない
    • まず環境の特性を見極めることが重要
  • 課題依存性
    • 能力は特定の課題に対して発揮され、課題を通じて成長する
    • 伸ばしたい能力と密接に関係した課題に取り組むことが重要
  • 変動性
    • 能力のレベルは環境・課題だけでなく自分自身の精神・身体状態によっても変動する
    • 昨日できていたことが今日できなくなっている、というのは正常な現象なので、落ち込んだり不安になる必要はない
  • サブ能力
    • ある能力を構成する能力
    • 例: リーダーシップ → 指導力、目標達成力、信頼性獲得力など
    • 全体を漠然とトレーニングするよりもサブ能力を具体的にトレーニングするほうが効果的
    • サブ能力を高める過程で、ある時に全体としての能力が高まる現象が見られる
  • 最適レベルと機能レベル
    • 最適レベル
      • 他者や環境からのサポートによって発揮できる最も高度な能力レベル
    • 機能レベル
      • 他者や環境からのサポートなしで発揮できる最も高度な能力レベル
    • 最適レベルのほうが機能レベルよりも高く、その差を 発達範囲 という
      • 基本的に年齢を重ねるにつれて発達範囲は広くなり、周囲からのサポートが能力の向上により重要になる
  • 有機体要因
    • 高度な能力を獲得するにはその土台となる基礎的な能力を持つ必要がある
  • 環境要因
    • 高度な能力を獲得するにはその能力が発揮される環境・課題が必要
  • 統合化
    • すでに持っている複数の能力が結びついて質的に新しい能力が成長する法則
    • 例: 「考える能力」×「キーボードを打つ能力」=「ブラインドタッチ」
    • 複数の能力を組み合わせて発揮することが求められる課題があり、それらの能力が十分なレベルに到達しているときに起こる
  • 複合化
    • すでに持っている複数の能力が結びついて量的に新しい能力が成長する法則
    • 例: 「聞いた内容を理解する能力」+「文字を書く能力」=「メモをとる能力」
    • それぞれの能力が無意識的に発動できるレベルである必要がある
  • 焦点化
    • ある課題に必要な能力を即座に選べるようになる法則
    • 環境や課題の特性を見極める力が必要
  • 代用化
    • ある環境・課題を通じて得た能力を他の環境・課題に適用できるようになる法則
    • 環境・課題が似ているものほど同じレベルで適用でき、異なるものほど低いレベルになる
  • 差異化
    • すでに持っている能力がより細かい能力になる法則
    • 差異化と統合化は同時に起きる
    • 例えば「考える能力」と「キーボードを打つ能力」から「ブラインドタッチ」を獲得するとき、「考える能力」は「キーボードを打ちながら考える能力」に、「キーボードを打つ能力」は「キーボードを見ずに打つ能力」になる
  • 5つの能力階層
    • 反射階層
      • 無意識に反応する
    • 感覚運動階層
      • 意識的に物理的な働きかけを行う
      • ここまでは言葉を完全に習得していない子どもでも発揮できる
    • 表象階層
      • 頭の中でイメージを作る
    • 抽象階層
      • 形のない抽象的な概念を操作する
    • 原理階層
      • 抽象的な複数の概念をより高度な概念や理論にまとめる
      • 一般の成人はこの階層にまで至らず、少なくとも博士課程と同等の知識・思考訓練が必要
  • 13の能力レベル
    • 単一反射レベル(0)
      • 反射階層
    • 反射配置レベル(1)
      • 反射階層
    • 反射システムレベル(2)
      • 反射階層
    • 単一感覚運動レベル(3)
      • 感覚運動階層
    • 感覚運動配置レベル(4)
      • 感覚運動階層
    • 感覚運動システムレベル(5)
      • 感覚運動階層
    • 単一表象レベル(6)
      • 表象階層
    • 表象配置レベル(7)
      • 表象階層
    • 表象システムレベル(8)
      • 表象階層
    • 単一抽象レベル(9)
      • 抽象階層
    • 抽象配置レベル(10)
      • 抽象階層
    • 抽象システムレベル(11)
      • 抽象階層
    • 単一原理レベル(12)
      • 原理階層
    • 「単一」とついているものはその階層の特徴を1つ扱えるレベル
    • 「配置」とついているものはその階層の特徴を1つ扱い、さらにその特徴に関する特徴を1つ扱えるレベル
    • 「システム」とついているものはその階層の複数の特徴を関連付けてまとめられるレベル
    • レベル11や12に至るには圧倒的な知識量の習得とその言語化による実践が必要
  • 抽象化の重要性
    • フィッシャーの能力階層・能力レベルにもあるように、能力の成長とは抽象化できるようになること
    • 抽象化できないと具体的な事柄を列挙することしかできない
    • 抽象的なものを具体的に説明するには抽象的なものを理解する能力が必要
    • ある問題は、そのレベルよりも1つ上の能力レベルがないと解決できない
    • 能力を抽象化することで再現性が上がり、他人に教えることも可能になる
  • 問題のある能力開発
    • 変動性の無視
      • 無意味に単調な反復練習を行うのは成長につながりにくく、モチベーションも下がりやすい
    • 生態学的妥当性の無視
      • 実戦的でない練習は成長につながりにくく、モチベーションも下がりやすい
    • 多様な能力領域・成長プロセスの無視
      • 能力領域を特定し、それらを客観的な測定で評価し、その結果をもとにした課題を提供するのが重要
  • 最近接発達領域とフロー状態
    • 最近接発達領域
      • ひとりでは達成できないことが他者の支援によって達成できることに変わる領域
    • フロー状態
      • ある課題に没入している状態
    • 最近接発達領域もフロー状態も難しすぎず簡単すぎない課題が必要