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📄自然言語による曖昧性の排除

以下の箇所は自然言語によって曖昧になりやすいので明確にする。

  • すべて(∀)/ ある(∃)
    • 特に否定はより曖昧
      • 「まだ全員来ていない」は全体否定(誰も来ていない)なのか部分否定(来ている人もいる)なのか曖昧
      • そもそも否定をなるべく避ける、どうしても必要であれば否定のかかる範囲を明確にする
  • 全体で/それぞれ
    • 「AとBに100バイトを割り当てる」はAとBを合わせて100バイトなのかそれぞれ100バイトなのか曖昧
  • 拘束力を持つ (shall) / 持たない(shouldまたはmay)
  • 「または」が排他的(どれか1つ)か包含的(少なくとも1つ)か
    • 自然言語では一般的に排他的だが、数式やプログラムでは一般的に包含的
      • ただし自然言語では曖昧
    • 英語で and/or と書かれている場合は包含的であることを明示している
  • 主語
    • 「〇〇が実行される」だけだと誰が実行するのか曖昧
  • 助詞と語順
    • 「〇〇は××にも存在する」と「××には〇〇も存在する」は意味が変わる
      • 前者は××が〇〇以外にも存在し、後者は××に〇〇以外も存在することを表す
  • 多義語
    • 「ため」(目的/理由)
      • 「AのためにBした」はAをするためにBが必要だったのか、Aが原因でBしたのか曖昧
    • 「に」(送り手/受け手/基準/割合/目的)
      • 「〇〇に借りる」は送り手、「〇〇に貸す」は受け手で真逆の意味
        • 送り手の用法は「から」、受け手の用法は「へ」で置き換えられる
      • 「〇〇に似ている」は基準、「3日に1回」は割合、「食べに行く」は目的
    • 「どうして」(方法 “How”/理由 “Why”)
      • 「どうしてわかったか」はHowだが「どうしてわかろうとしたか」はWhy
    • 「から」(起点/経由点/要素)
      • 「Xから始める」は起点、「AがXから入る」は経由点、「AはXから作る」は要素
    • 「大丈夫」(肯定/否定)
  • 時相
    • 「スーツを着ている」は動作の継続(着ている最中)なのか結果の継続(着ている状態)なのか曖昧
    • 「Aして、Bして、Cする」はABCが同時に起きるのか順番に起きるのか曖昧
    • し始める、し続ける、し終わる、まで、〇〇前、〇〇中、〇〇後、〇〇する時、〇〇の間などで明確にする
  • 時制
    • 「課長はかつてプログラマーだった」は課長がプログラマーだったころも課長だったのか曖昧
  • 修飾
    • 「刑事は血まみれになって逃げだした賊を追いかけた」は血まみれになっているのが刑事なのか賊なのか曖昧
    • 修飾語と被修飾語を近くに置いたり、読点を入れたりして明確にする
  • 入れ物と中身
    • 「変数を初期化する」は変数に初期値を代入するのか変数の領域を確保するのか曖昧
      • 設定と定義の違い
    • 「変数をコピーする」は「変数の値をコピーする」が正しい
      • 入れ物である変数自体はコピーされず、中身の値がコピーされる
    • 対象が入れ物なのかその中身なのか注意
      • 特に再帰構造を対象にするときはその範囲にも注意
    • 「速度」は速さのみを指していないか注意
  • 命題同士の関係
    • 矛盾関係
      • 同時に真になることも偽になることもない関係
      • 「AをBする」と「AをBしない」
      • Xと¬X(P∧Qと¬P∨¬Q、P∨Qと¬P∧¬Q)
    • 反対関係
      • 同時に真になることはないが、同時に偽になることはある関係
      • 「すべてのAをBする」と「どのAもBしない」
        • 一部のAだけBすると両方偽になる
      • P∧Qと¬P∧¬Q
    • 小反対関係
      • 同時に真になることはあるが、同時に偽になることはない関係
      • 「一部のAをBする」と「一部のAをBしない」
      • P∨Qと¬P∨¬Q
    • 含意関係、大小関係、帰属関係
      • 片方が真になるときもう片方も必ず真になる関係
      • 「一部のAをBする」と「すべてのAをBする」
      • X→Y(P∧QとP∨Q、¬P∧¬Qと¬P∨¬Q)
    • 頻出するのは「以上・以下・未満・超過」「以後・以前・後・前」「全部肯定、全部否定、一部肯定、一部否定」
  • 裏の関係
    • 「AのときBする」はAでないときが曖昧
      • 一般的にはBしないのが正しいことが多いが、明確でない
      • 「AのときのみBする」と書くと明確になる
    • 「AのときBしない」はいつBするのかが曖昧
      • Aによらず常にBしなければ仕様を満たすことになる
  • 必要条件と十分条件
    • 「XのときYする」を「YするにはXが必要」と書くと間違い
      • Xは十分条件のため「YするにはXで十分」が正しい
    • 「AするにはBが必要」と書いた場合、Aが十分条件でBが必要条件
    • 「AするにはBで十分」と書いた場合、Aが必要条件でBが十分条件
  • 前提
    • 前提が間違っていると結論が間違っていることに気づけない

以下の対策がある。

  • 文章を以下のように変換したときに意味の変化が妥当か判定する
    • 否定形にする、もしくは肯定形にする
    • 助詞を除く、もしくは挿入する
    • 「ならば」を「なのに」や「だけど」に換える
    • 単数を複数にする
    • 目的と理由を逆にする
    • 語順を換える
    • 「または」を「一方のみ」に換える、もしくはその逆をする
    • 「および」を「または」に換える、もしくはその逆をする
    • 「明らかに」や「確かに」などをその根拠と置き換える
    • 「など」や「その他」をその例と置き換える
    • 「一部の」を「全部の」に換える、もしくはその逆をする
    • 「常に」を「時々」に換える、もしくはその逆をする
    • 時制を変える
  • 図を描く
    • 要素間の関係がわかりやすい
    • 相関図
      • 考慮の漏れている要素・関係がないか
      • 関係の向きが正しいか
    • 階層図
      • 考慮の漏れている要素・階層がないか
    • プロセス図
      • 考慮の漏れている要素・分岐がないか
    • ベン図
      • 文章に対応する集合がどれか
      • 考慮の漏れている集合がないか
    • シーケンス図
      • 順序におかしいところがないか
      • ある時点での状態におかしいところがないか
    • 状態遷移図
      • 遷移におかしいところがないか
      • 考慮の漏れている状態・遷移がないか
    • 象限図
      • 要素の分類におかしいところがないか
  • 表を描く
    • 要素間の組み合わせを網羅しやすい
    • 表一般
      • 考慮の漏れている組み合わせがないか
    • 状態遷移表
      • 遷移におかしいところがないか
      • 考慮の漏れている状態・遷移がないか
  • グラフを描く
    • 要素間の大小や割合を比較しやすい
    • 折れ線グラフ
      • 要素の変化におかしいところがないか
    • 棒グラフ、レーダーチャート
      • 要素の大きさにおかしいところがないか
    • 円グラフ、帯グラフ
      • 要素の割合におかしいところがないか
    • 散布図
      • 要素間の傾向におかしいところがないか
      • 外れ値におかしいところがないか
  • MECEに分類する

誤謬・詭弁 も参照。