コンテンツにスキップ

📄誤謬・詭弁

議論の目的はより良い案や妥協案を見つけること。
ゲームとしてのディベートは別として、勝ち負けを目的としないよう注意する。
議論に影響がないのであれば誤謬や詭弁に気づいても適当に流す。
あるのであれば誤謬があることを指摘して軌道を戻す。

  • 合接の誤謬、連言錯誤
    • 一般的な状況より特殊な状況のほうが発生する可能性が高いと推論すること
    • たとえば「10年以内に消費税率が上がる確率」より「10年以内に税収が減って消費税率が上がる確率」のほうが高いと推論するなど
      • 片方のみ起きる可能性のほうが高い
  • 後件肯定
    • PならばQかつQが真のとき、Pも真と推論すること
    • たとえば「雨が降ると地面が濡れる」と「地面が濡れている」から「雨が降った」と推論するなど
      • 雨以外で濡れている場合もある
    • PとQが同値の場合は誤謬でないので注意
      • たとえば「偶数なら2で割れる整数」と「2で割れる整数」から「偶数」と推論するのは正しい
    • 推論としては正しくないが、仮説を立てるときにはよく使われる
  • 前件否定
    • PならばQかつPが偽のとき、Qも偽と推論すること
    • たとえば「雨が降ると地面が濡れる」と「雨が降っていない」から「地面が濡れていない」と推論するなど
      • 雨以外で濡れている場合もある
    • PとQが同値の場合は誤謬でないので注意
      • たとえば「偶数なら2で割れる整数」と「偶数でない」から「2で割り切れない」と推論するのは正しい
  • 選言肯定
    • PまたはQかつPが真のとき、Qが偽と推論すること
    • たとえば「晩ご飯に肉か魚を食べる」と「晩ご飯に肉を食べる」から「晩ご飯に魚を食べない」と推論するなど
      • 両方食べる場合がある
    • 包含的論理和のとき限定の誤謬であり、排他的論理和のときは誤謬でないので注意
      • たとえば「その数は偶数である」から「その数は奇数でない」と推論するのは正しい
  • 早まった一般化
    • 不十分な事例から一般則を演繹すること
    • たとえば「マグロは卵を産む」と「鯖は卵を産む」と「鮭は卵を産む」から「魚は卵を産む」と演繹するなど
      • 胎生の魚もいる
  • 誤った二分法、選択の限定
    • 他の可能性があるにもかかわらず2つの可能性しか考慮しないこと
    • たとえば「壺を買えば幸せになるが、買わなければ不幸になる」など
      • 壺を買って不幸になったり、壺を買わずに幸せになったりする可能性もある
  • 誤った類推、不当な類推
    • 相違点を無視して類似性から推論すること
    • たとえば「酒とコーヒーはどちらも嗜好品の飲料であり、酒は法律で規制されているのでコーヒーも法律で規制されているはず」など
      • コーヒーにはアルコールが含まれないなどの相違点を考慮していない
  • 媒概念不周延の虚偽
    • AはBかつCはBのとき、CはAと推論すること
    • たとえば「頭の良い人はよく本を読む」と「私はよく本を読む」から「私は頭が良い」と推論するなど
    • CがAの部分集合でないと成立しない
  • 相関関係と因果関係の混同(擬似相関)
    • 相関関係から因果関係を推論すること
    • たとえば「チョコレートの消費量が多い国はノーベル賞受賞者数が多い」から「チョコレートの消費量が増えるとノーベル賞受賞者数が増える」と推論するなど
      • チョコレートの消費量が多い国は経済力や教育レベルが高いなどとの相関があり、それらが要因である可能性が高い
  • 前後関係と因果関係の混同(前後即因果の誤謬)
    • 前後関係から因果関係を推論すること
    • たとえば「りんごを毎日食べるようにしたら痩せた」から「りんごを食べると痩せる」と推論するなど
      • 他の原因の可能性がある
  • 因果関係の逆転
    • 原因と結果を逆に推論する
    • たとえば「バスケットボール選手は身長が高い人が多い」から「バスケットボールをすると身長が高くなる」と推論するなど
      • 身長が高いからバスケットボールを続けている可能性がある
  • クラスター錯覚
    • ランダムな値の分布にパターンやクラスターがあるように錯覚すること
    • たとえば「コインが4回連続で表のときは次も表が出る」と錯覚するなど
      • それまでの結果は次の結果に影響しない
  • 論点先取、循環論法、トートロジー
    • 証明すべき命題を前提に含めること
    • たとえば「彼は正直者なので嘘を言わない」など
      • 根拠が結論を言い換えただけ
  • 多重質問の誤謬
    • 証明されていない命題を前提に含んだ質問をすること
    • たとえば「まだ借金をしているのですか」と質問するなど
      • 「はい」と答えても「いいえ」と答えても借金をしていたことになる
      • 防ぐには「はい」や「いいえ」ではなく「借金をしたことはない」のように文脈に応じた回答をする
  • 概念曖昧の誤謬
    • 前提に曖昧なことば、多義語、文法などを含むことで誤った推論をすること
      • 「車の運転には免許が必要」と「自転車も車」から「自転車の運転には免許が必要」と推論
        • 1つ目の前提の車は自動車を指すが、2つ目の前提の車は車両を指す
      • 「砂山はたくさんの砂粒からできている」と「砂山から一粒除いても砂山のまま」から「砂山から一粒ずつ除いていって残り一粒になっても砂山」と推論
        • 砂山の定義が曖昧
        • このパターンを特に連続性の虚偽という
        • 防ぐには境界値を定めたり、砂山だとも砂山でないとも言えない状態(多値論理)を導入したりする
  • 合成の誤謬
    • 部分的に真であることから全体でも真であると推論すること
    • たとえば「コンピュータの各部品が高品質」から「コンピュータが高品質」と推論するなど
      • 組み合わせによって高品質にならない可能性もある
  • 分割の誤謬
    • 全体で真であることから部分的にも真であると推論すること
    • たとえば「コンピュータが高品質」から「コンピュータの各部品が高品質」と推論するなど
      • 上手く組み合わせたことによって高品質になった可能性もある
    • 合成の誤謬の視点を変えたもの
  • 未知論証、無知に訴える論証、無知に基づいた論証
    • 証明されていないことを前提として推論すること
    • たとえば「幽霊がいないことは証明されていない」から「幽霊はいる」と推論するなど
      • いることも証明されていない
  • すべり坂論法、雪だるま式論法
    • ある事象をきっかけに連鎖的に別の事象が起こると主張すること
      • 風が吹けば桶屋が儲かるの方式
    • 必ずしも誤謬ではないが、論理飛躍によって誤謬になる可能性がある
    • たとえば「バンド活動は学校外のつながりが増えてそのうち悪い仲間とつるむようになり、不良になって犯罪を起こすことになるので禁止する」など
      • 学校外のつながりが増えることと悪い仲間とつるむようになることの間に論理飛躍がある
  • 人的論法
    • 誰が言ったかを問題にすること
    • 何種類かある
      • 対人論証
        • 主張そのものではなく主張者を論点にすること
        • 論点のすり替えの一つで主張者を攻撃するために使われる
        • たとえば「遅刻した彼の主張は受け入れられない」など
          • 遅刻したことと主張の正当性は関係ない
      • 状況対人論証
        • 対人論証の一種で、ポジショントークであると指摘すること
          • つまり主張者がその主張をせざるを得ない状況にあると指摘すること
        • たとえば「セールスマンは自社の商品であれば悪いものでも勧めるから買わない」など
          • 自社の商品であることと商品の品質は関係ない
      • 連座の誤謬
        • 対人論証の一種で、主張者の属している集団や主張を支持している人・集団を論点にすること
        • たとえば「不正を行った政治家の所属していた党のメンバーが言うことは受け入れられない」や「その主張はあの犯罪者も言っていたので受け入れられない」や「まだ学生の言うことは受け入れられない」など
          • 属している集団や支持している人・集団と主張の正当性は関係ない
      • お前だって論法、ブーメラン論法
        • 対人論証の一種で、主張への反論ではなく主張者の言動もその主張と矛盾していることをもって主張者に攻撃すること
        • たとえば「遅刻はしないほうが良い」に対して「あなたも遅刻しているので受け入れられない」など
          • 主張者が遅刻したことと主張の正当性は関係ない
      • 権威論証、権威に訴える論証
        • 権威のある人の意見を真と推論すること
        • たとえば「アリストテレスが言ったのであれば正しい」と推論するなど
          • 権威のある人と主張の正当性は関係ない
      • 多数論証、衆人に訴える論証
        • 多数派の意見を真と推論すること
        • たとえば「多くの人が宇宙人はいると信じているのでいる」と推論するなど
          • 多数派であることと主張の正当性は関係ない
        • ただし投票や慣習など、多数派を真とすることもある
  • 同情論証、同情に訴える論証
    • 同情や罪悪感によって主張を受け入れさせようとすること
    • たとえば「彼はミスをしたがかわいそうなので責めない」など
      • 気の毒なことと主張の正当性は関係ない
  • 充填された語、含みのある表現
    • 感情を煽る表現をすること
    • たとえば「彼の冷酷な主張は受け入れられない」や「まだ80%しかない」など
      • 「冷酷」や「まだ」は主観であり主張とは関係ない
    • いくつかパターンがある
      • 知性への脅し
        • 常識・道徳・優秀さに関する語によって感情を煽ること
        • たとえば「常識」「明らか」「当然」「もちろん」「簡単に」「子どもでもわかる」「優秀な人であればわかる」「他人を思いやる気持ちがあるのであればわかる」など
        • 逆に反論するときはたとえば「言い訳」「屁理屈」「詭弁」「正当化」「自分勝手」「机上の空論」「理想論」「宗教」「信者」「通用しない」など
      • 侮辱、罵倒
        • 相手を貶すことによって感情を煽ること
        • たとえば「お勉強してから発言してください」「そんな低級な価値観で恥ずかしくないのですか」など
  • 脅迫論証、恐怖に訴える論証、威力に訴える論証
    • 脅迫・恐怖によって主張を受け入れさせようとすること
    • たとえば「受け入れられないのであれば帰れ」や「賛成しないなら絶交する」や「これを買わないと流行に遅れる」など
      • 主張の正当性が問われていない
  • 自然主義的誤謬
    • 倫理に関係のない前提から倫理的な結論を導くこと
    • 倫理に関係のない前提から倫理的な結論を導くことはできないことをヒュームの法則という
      • 「たばこは健康に悪い」から「たばこを吸ってはいけない」を導く
        • 健康に悪いが吸う自由はある
      • 「ビールは美味しい」から「ビールを飲むのは良いこと」を導く
        • 美味しいが悪い影響もある
  • 道徳主義の誤謬
    • 倫理観・道徳によって結論を導くこと
    • たとえば「人間は平等であるべきなので能力は遺伝しない」など
  • 伝統に訴える論証
    • 伝統によって結論を導くこと
    • たとえば「昔からそうしている」「前例がない」など
      • 昔からやっていることと主張の正当性は関係ない
  • 新しさに訴える論証
    • 新しさによって結論を導くこと
    • たとえば「それはもう古い」「最新のやり方」など
      • 新しいことと主張の正当性は関係ない
  • 結果に訴える論証、希望的観測
    • 主張者が望む結果になる前提を真と推論すること
    • たとえば「天国があったほうが死後幸福になれるので天国はある」や「睨んでいたということは喧嘩したいのか」や「目を見て話せないのはやましいことがあるからだ」や「あくびをするのは緊張感がないからだ」など
      • 結果の望ましさと前提の正当性は関係ない
  • 論点のすり替え、論点相違の虚偽、論点無視の虚偽、燻製ニシンの虚偽
    • 新しい命題を提示することで論点をそらすこと
    • たとえば「このスマホはバッテリーの持ちが悪い」に対して「でもデザインは良い」など
      • デザインが良いこととバッテリーの持ちが悪いことは関係ない
    • 誤字や言い間違いなど主題と関係ない枝葉末節にこだわるパターンもある
  • 論点回避
    • 前提の真偽を問わずに結論を真とすること
    • たとえば「毎日運動すれば禁煙できる。毎日運動すれば良い」など
      • 「毎日運動すれば禁煙できる」の真偽が不明
  • ストローマン、藁人形論法、かかし論法
    • 主張を変形させて反論すること
    • たとえば「道路で遊ぶのは危険」に対して「外で遊ぶのは良いこと」と反論するなど
  • チェリーピッキング
    • 都合の良い事例・証拠だけで結論を導くこと
    • たとえば「AもBもCも起業して成功したので起業したほうが良い」など
      • 失敗した事例を無視している
    • 特定の事例のみをもって「全員」や「誰もいない」などを使うことを特に全称の誤用や例外の撲滅という
  • 小児型強弁
    • 根拠を言わず、反論も受け付けず、自分の主張だけを繰り返すこと
    • たとえば「とにかくダメ」や「私がそう思ったからそう」など
  • 間接的な表現
    • 主張を明言しないこと
    • 反論を防いだり、反論されても立証責任を回避したり、「そのようなことは言っていない」と逃げたりする目的で使われる
    • たとえば「ここまで言えばわかりますね」など
    • 反語表現もよくある
      • 「ではその問題を放置しても良いということでしょうか(いや、良くない)」など
      • 表現上は疑問文の形なので、反語であることを指摘しても疑問文であると返される
      • 防ぐには疑問文として扱ってそのまま返すか、反語か疑問文かを質問する
        • ただし疑問文として扱って返す場合はこちらに立証責任が生じるので注意

参考